こんばんは、つるあしです。
いきなり私事ではありますが先日、公式のジャッジ試験を受け、見事合格したため正式に公認ジャッジとなりました。まだまだ至らぬ点もありますが、ひとまず公式に認められたということで嬉しい一方で、これからは1人のジャッジとしてポケカに向き合うことになった緊張感もあり、相手のポケモンがきのみを食べることができなくなりました。そんなわけで今後ともよろしくお願いします。
さて、せっかくジャッジ資格を取ったのに何もしない日々を過ごすのもアレなので、これからは「ジャッジのおしごと」として個人的に気になった(あるいは人に求められた)裁定について個人的な見解をちょこちょこ書いていこうかなと思います(実はもっと前から書きたかったんですが、資格も取っていないのにデカい顔するのが怖くて書いてませんでした)。
第1回となる今回はSM11に収録されているナマケロのワザ「なまけごえ」とイーブイの特性「エナジーしんか」の裁定について書こうと思います。
事の発端はTwitterで見かけた「なまけごえ」と「エナジーしんか」における質問の公式回答について、どういう処理をしているのか知りたいと頼まれたからです。『「なまけごえ」を受けたイーブイが「エナジーしんか」で進化したら番は終わらないのでは?』という内容でしたが公式の回答は『番は終わります』でした。問題のツイートはここには挙げませんが、どうやら直感的な理解と回答とのギャップが気持ち悪いとのことです。一応納得のいく回答を導き出せたので今回記事を書くことにしました。
まずは「なまけごえ」について見ていきましょう。
「なまけごえ」について
なまけごえ
次の相手の番、このワザを受けたポケモンに、相手が手札からエネルギーをつけたなら、相手の番は終わる。
今までにあまり例を見ない珍妙なテキストです。そのため、Q&Aにも範例が見当たらず、裁定の判断が難しくなっています。これはジャッジ資格を取る取らないに関わらず言える事ですが、気になった裁定は速攻公式にお問合せしましょう。今日はこれだけ覚えて帰っても構いません。別にお金がかかるわけではありませんし、問い合わせすることで公式から目を付けられるわけでもありません(よほどのことがない限りは)。聞き得なのでガンガン質問しましょう。特に自分が使うカードの裁定は一通り答えられるようにしておくと大会でもスムーズに進行できるかと思います。ポケカライフを豊かにするためにもさまざまな裁定について調べておくとよいでしょう。以上、余談でした。
ご存じとは思いますが一応イーブイのほうも挙げておきます。
エナジーしんか
自分の番に、自分の手札から基本エネルギーをこのポケモンにつけたとき、1回使える。つけたエネルギーと同じタイプの、このポケモンから進化するカードを、自分の山札から1枚選び、このポケモンにのせて進化させる。そして山札を切る。
そもそも効果はどこにかかるのか?
今回の想定は『「なまけごえ」を受けたイーブイが「エナジーしんか」で進化したら、イーブイにかかっている効果は消えるから番は終わらないのでは?』というものですが、そもそも「なまけごえ」の効果はどこにかかっているのでしょうか?イーブイにかかっていないなら進化しても番が終わるのは納得がいきますよね。というわけでいくつか候補を出しました。
仮説1. ポケモンにかかっている説
「なまけごえ」のテキストに「このワザを受けたポケモンに」とあるのでポケモンにかかっているのではないか?というもの。まさしく今回の議題の想定です。
仮説2. ポケモンとプレイヤーにかかっている説
同様に「相手が手札からエネルギーをつけたなら」ともあるのでプレイヤーにもかかっているのでは?というもの。ポケモンにかかる効果が消えてもプレイヤーに効果がかかっているから番が終わるのではないか、という発想ですね。
仮説3. 番にかかっている説
かなり斬新な説です。番にかかった効果はどうしようもないから「なまけごえ」が働くというロジックでしょう。初めて聞いたときは度肝を抜かれました。
~検証~
とりあえず公式Q&Aを覗くと、「きとうし」により効果の解除ができ、ガラガラの特性「ようじんぼう」により防ぐことが出来ないようです。また、ビーダルの特性「てんねん」では防げるようなので、ポケモンまたはプレイヤーにかかる効果であり、プレイヤーにかかる効果ではないが、ポケモンにかかる効果であるため、結論としてこれは仮説1ということでいいでしょう。正直、番にまでかかっているかどうかは検証のしようがありませんが、今回は上記の理論で導き出されたものを想定するとします。
効果の発生と対象
長い前置きになりましたが本題に入ります。
イーブイに手札から基本エネルギーを付けた時には特性「エナジーしんか」を使用する権利とワザ「なまけごえ」の効果が同時に発生します。これはいずれも発動するタイミングが”手札からエネルギーをつけたとき”だからです。同時に複数の効果が発生する場合、どちらの処理を先に行うかは対象となるカードの持ち主が決めることが出来ます。この場合はイーブイの持ち主であるプレイヤーがどちらを先に行うかを決めます。
ここで「エナジーしんか」を先に処理した場合、進化することによって「なまけごえ」の効果が消えると思っている方がいらっしゃるかと思いますが、実は違います。手札からエネルギーを付けた時にすでに「なまけごえ」の効果は発生しているため、「エナジーしんか」の処理を終えた後に「なまけごえ」の処理を行い、番が終わります。
ここであえて紛らわしい例を挙げておきます。以下はイーブイとカメックス&ポッチャマGXに関する公式のQ&Aです。
Q. 自分のカメックス&ポッチャマGXのワザ「スプラッシュメーカー」の効果で、特性「エナジーしんか」を持つイーブイに水エネルギーをつけた場合、特性「エナジーしんか」の効果で進化させるのと、ワザ「スプラッシュメーカー」によってHPを回復するのとでは、どちらを先におこないますか?
A. イーブイの持ち主が、えらぶことができます。イーブイの特性「エナジーしんか」を先に使ってイーブイを進化させた場合、カメックス&ポッチャマGXのワザ「スプラッシュメーカー」の効果でHPを回復させることはできません。
この場合においては進化を行うとワザの効果を得ることが出来ません。これは一体どういうことでしょうか。
タネ明かしをすると、これはワザの対象が違います。「スプラッシュメーカー」について見てみましょう。
スプラッシュメーカー
のぞむなら、自分の手札にある水エネルギーを3枚まで、自分のポケモンに好きなようにつける。その後、つけたポケモンのHPを、それぞれつけた枚数×50ダメージぶん回復する。
効果の発生は先程と同様に同時なので、どちらを先に処理するかを選ぶことができます。先に「エナジーしんか」を行い、イーブイを進化をさせて処理を終えると、「スプラッシュメーカー」の処理に移るわけですが、HPを回復させる対象は”エネルギーをつけたポケモン”なのでイーブイということになります。しかし、イーブイはすでに進化しているので対象となるポケモンが場にいないことになり、回復をせずに効果の処理を終えます。これがHPを回復できないカラクリの正体だと考えます。ここで重要なのは”進化をしたから効果が消えた”わけではないということです。ここの認識を誤っているから「なまけごえ」の裁定に違和感を覚えるのだと思います。
再び本題に戻りましょう。「なまけごえ」の効果は”ワザを受けたポケモンに手札からエネルギーをつけたとき番が終わる”というものでした。処理の対象は”番”なので先の例とは異なり、ワザの効果を受けたポケモンの存在の有無に関わらず番が終わります。仮説3で”番”の存在が挙げられていましたが、目の付け所は合っていたのかもしれません。
流れをまとめると以下のようになります。
- イーブイが「なまけごえ」を受ける
- イーブイにエネルギーを付けると「エナジーしんか」と「なまけごえ」が同時に誘発する(処理の順番は選ぶことができ、ここでは「エナジーしんか」を先に処理する)
- 「エナジーしんか」の処理を行い、イーブイを進化させる
- その後、「なまけごえ」の処理を行い、番を終える
いかがでしたでしょうか。日本語力が不自由なので拙い説明となりましたが、少しでも理解していただけたなら幸いです。公式から詳しい裁定をいただいたわけではありませんが、おそらくこれが正しいのではないかと考えます。何か論理の穴や不備がございましたらお申し付けください。
次の更新はいつになるかわかりません。真面目なの記事を書くのか、それとも「真面目」なお話をするのか、どうなるかはわかりませんがどうかこれからも温かい目で見守っていただけるとありがたいです。
それではまた。